小説「シナン」 夢枕獏著

 先日BS日テレで「中谷美紀 トルコ紀行 ~天才建築家シナンが遺した奇跡~」を放送していた。
 そこで初めてシナンという建築家を知り、その番組のベースとなっていた夢枕獏氏の小説「シナン」を読んでみることにした 
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 この本を読んでトルコという国の凄さを改めて認識した。
 今でこそ新興国としてこれからの発展が期待されているが、かつてはまさに世界の中心として栄えていた。
 
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 現在のアヤソフィアは西暦562年に再建築されたものでドーム直径は31m、1000年後オスマントルコのスレイマン大帝からシナンにそれを超えるものを造れと云われても、どうしても出来ないと固辞した、それほどまでに計算尽くされたギリギリの大きさのドームであった。
 自分がトルコ旅行に行った時、確かにアヤソフィアもブルーモスクも訪れた。だがタイルやモザイク、ステンドグラスに目がいって、それが世界最大を誇ってきたという歴史は知らなかった。
 「シナン」を読んでいたら、きっとジャーミーを見る目は違っていただろう。
 
 これは文庫本の巻頭にある地図、オスマン帝国がどれほどの権勢を誇っていたかというもの、
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 塩野七生の「ローマ人の物語」を読んで古代ローマの凄さを知った。
 この「シナン」を読んでオスマントルコの凄さを知った。そしてシナンという建築家が1500年代に活躍し、その建築物が今なお現存し、ジャーミーもキュッリエも水道も泉も使われているという凄さも知った。
    
 壮麗に飾った寺院は、「人」がいっぱいでシナンは神を見出すことが出来なかった。神の見えるジャーミー、神の宿るジャーミーを造りたいと願ったシナン
 
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 イスタンブール旧市街の中にはシナンが造ったジャーミーが4つもある。TV放送の中でも紹介されていたスレイマン大帝の為に造った「スレイマニエ・ジャーミー」には、きっとシナンの念願でもある神が宿っていることだろう。
   
 もう一度イスタンブールを訪れ、シナンの造った建築物を見てみたい。もちろん、スレイマニエ・ジャーミーも!