谷川彰英氏の著になるこの本、元々は東京の地名に関することを記述する積りだったのが、3.11を機に地名から見た危険予知に方針変更したものだ。
この本の想定では東京に10mの津波が襲ったらという前提で書かれている。
ちょうどそれは数千年前の縄文海進で海水面が今より6m~10m程度高かった状況に似ている。
「地名とは二人以上の人の間に共同に使用せらるる符号である。」とした柳田国男の言からして、誰でも認知できる状況を指し示したもの=名は体を表すことから、そこが海辺だったか、砂地だったか、丘だったか、谷だったかが読み取れるという訳だ。
それらを分かり易く解説しており、馴染の街名がでてくるので、ふ~んそうなのかと説得されてしまう。
これは紀元前6000年ころをカシミール3Dからシミュレートしたものだ。海水面が13m高いことを前提にしている。この本の想定より更に3mほど高い。
自分の住んでいる船橋市を中心にしているのだが、国道14号線より海側は完全に海の中、谷を遡って奥まで海が押し寄せている。
市川の国府台台地より西側は完全に海、
もし20m海水面が高ければ、
津波として東京エリアに20mを想定すべきかは分からない。
都心では上野、本郷、小石川、麹町より西側が洪積台地としてシッカリ存在している。
幸いこのシミュレーションによっても我が家は残っているが、仮に外出先で、例えば日本橋とか銀座、丸の内に居たとすれば、直ちに高層ビルに頼るしかないだろう。
この本でも都心ではビルに逃げ込めば良いとしているが、地下鉄については全滅の危険性をも指摘している。即ち東京湾の延長線上に海溝型の巨大地震が発生した場合、短時間で大津波が到達する可能性もあるからだ。非常に悩ましい問題だと思う。
『想定外』にならない『想定』はあまりにも厳しい。