脂肪に纏わる二つの話題

1.米食品医薬品局(FDA)が、人工的に製造されるトランス脂肪酸について「一般的に安全とは認められない」との判断を示し、食品メーカーに対して3年以内に全廃するよう指示した。
 
 トランス脂肪酸がイケナイということは既に伝わっているが、それがいよいよ本格的に廃止に向かっているという『米国』の話なのだが、このニュースを読んで凄いと思ったのは、FDAがスパッと結論を出して全廃を指示出来ると云うこと。
 そこに至るまでの経緯が日本では報じられていないのだが、日本の行政がここまでの指示を出せるものかと感心してしまった。
 このFDAの動きを見て、厚生労働省はいかなる判断・指示を、何時までに出すのだろう、いや出せるのだろうか?
 
2.「食べ過ぎる」ことが「太る」原因ではなく、「太っていく」ことが「食べ過ぎる」原因である。
 
 一旦太りだすと止まらないと云う恐ろしい話なのだが、その理論は以下の通り、

ルートウィヒ教授は、ニューヨークタイムズ紙で、次のように述べています。
 「人間の体に必要なエネルギーに対し、血液中を流せるエネルギーは非常に少なく、多くのカロリーが脂肪組織にため込まれます。つまり、摂取したエネルギーが、どこに分配されるのかに問題があるわけです。私たちの体に十分なカロリーが蓄えられていても、血液中に流れるのではなく、間違った場所に蓄積されている限り、血液中のエネルギーは常に足りないと感じるので、食べる量を減らすことはできず、逆にどんどん摂取していくことになります。人間は太っていくに連れて、よりお腹がすくようになるのです。
 まるで、血管から外に水が漏れて、周囲の組織にむくみが生じる浮腫のような状態で、この状態ではどんなに水を飲んでも、水分が血管から外に漏れてしまうので、喉の乾きが抑えられないことがあります。同じように、脂肪細胞が多くの燃料を取り込んでしまうと、食べたカロリーは体が必要なエネルギーとして利用されず、脂肪細胞の増殖を増長し、さらに食べ過ぎが抑えられなくなる可能性があります。
 また、カロリー制限をすると一時的減量には効果があるため、体重のコントロールができていると思いがちですが、減量後、脳は体にカロリー摂取量を増やして(=お腹がすく)、エネルギーを節約(代謝が遅くなる)するように命じます」
■参考文献 

  The New York TimesAlways Hungry? Here's Why

 
 血液中を流せるエネルギーに限りがあるというのが初耳だが、
 摂取したエネルギーがどうして間違った場所に蓄積されてしまうのか、それを消費する術はないものか?
 それらが解明されると「肥満」が一気に解消していくと思うのだが、
  
 トランス脂肪酸全廃は別のアプローチだが、「肥満」解消の一助だろう。